大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(ネ)956号 判決

2 根抵当権を二個に分割してその一を他に譲渡すると、譲渡された根抵当権は譲受人に絶対的に移転し、譲渡人は右移転にかかる根抵当権についてもはやなんらの権利を有しなくなる(民法三九八条の一二第二項)。これに反し、一部代位弁済による根抵当権の一部移転は、根抵当権の共有状態を作出し、原根抵当権者と一部代位弁済者の両者が根抵当権全部を共有するに至るのであるから(民法五〇二条一項)、一部代位弁済者の債権が消滅した場合(右消滅が弁済によるものであるときは、弁済者がさらに民法四九九条又は五〇〇条による権利を取得するが、本件においては、≪証拠≫によれば、保証協会に対する弁済者は本件配当期日までに根抵当権一部移転の登記を経由しておらず、控訴人はその対抗要件の欠缺を暗黙のうちに主張しているものと認められるから、右の点については触れない。)においては、民法二六四条、二五五条の類推適用により、一部代位弁済者の有した根抵当権の共有権は原根抵当権者に帰属し、原根抵当権者は、根抵当権の極度額の範囲内で被担保債権につき優先して売却代金の交付を受けることができるものと解すべきである。

3 一部代位弁済による根抵当権の一部移転は、不動産登記手続上根抵当権一部移転として登記すべく、右登記がない限り一部代位弁済者は根抵当権の共有をもって利害関係を有する第三者に対抗することができない(一部代位弁済者に対する弁済者も同様である。)。しかし、一部代位弁済者のため根抵当権一部移転の登記が経由されたのち一部代位弁済者の債権が弁済により消滅し、売却代金交付期日までに一部代位弁済者に対する弁済者が根抵当権一部移転の登記を経由しないときは、前記の理論により、裁判所は原根抵当権に対し根抵当権の極度額の範囲内において優先して売却代金を交付すべきものと解するのが相当である。後順位権利者は、これによってなんら不利益を受けるものでなく、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない。

(川添 新海 佐藤)

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